日本化学産業株式会社(社長・角谷 博樹)は、長年にわたり、電子部品や樹脂の金型、電鋳品など、さまざまな用途の表面処理ニーズに応えてきました。
近年の情報化社会の進展に伴い、多くの情報機器の部品が、より高密度化、高集積化する中で、情報機器に対応した表面処理薬剤に求められる性能も、ますます高度化しています。
当社では、表面処理に関する独自のコア技術をベースに、精密性、硬度、内部応力といった、高度な皮膜コントロールが可能なスルファミン酸ニッケル製品と各種スルファミン酸塩類、各種添加剤を取り揃えており、国内外の多くのお取引先から信頼をいただいています。
私たちの暮らしは、より速く、より賢く、より安全な方向へと日々進化しています。しかし、その進化の裏側で、電子機器の高密度化・高集積化が進むにつれて、磁気が見えない課題として浮かび上がってきました。目に見えない磁気の影響は、ときに通信を妨げ、医療の質を低下させ、精密機器を誤作動させる原因となります。未来の社会基盤を支えるためには、この磁気をコントロールする技術が不可欠です。
私たちの社会は、以下のような未来に向かって進化しています。この進化を実現するために、非磁性の技術が求められています。
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あらゆるモノが瞬時につながる社会へ
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超高速・大容量通信(5G/6G)が当たり前になり、タイムラグのない遠隔操作や自動運転が実現します。
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より精密で安全な医療へ
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MRIなどの高度な医療機器が、より鮮明な画像を、より安全に提供できるようになります。
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正確に感知して反応するスマート機器の普及
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スマートフォンやウェアラブル端末のセンサーが、周囲の磁気に影響されず、常に正確な情報を検知します。
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ビッグデータ・AIを支える基盤強化
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膨大なデータを処理する半導体やサーバーが、磁気の影響によるエラーを起こすことなく、安定して稼働し続けます。
社会の進化を支える各産業分野では、すでに磁気が引き起こす具体的な問題に直面しています。
このように非磁性のめっき皮膜は、特定の産業だけでなく、私たちの未来の生活を根底から支えるために不可欠な技術と言えます。この技術レポートでは、これらの課題を解決するために当社で開発している「スルファミン酸ニッケル浴での非磁性ニッケル-リン合金めっき」について紹介します。
物質は原子レベルで磁気モーメントを持っています。磁場をかけることで、これらのモーメントは磁場の方向に揃い、磁化が生じます。
強磁性体(例:ニッケル)は、自発磁化を持っており、物質内部では磁区の磁気モーメントの向きがランダムのため、全体としては磁化がゼロの状態。
磁場をかけると、磁場に沿った磁区が拡大し、物質全体として磁化が生じる。また、交換相互作用により、磁気モーメントが揃うことで磁性が強化される。
Ni(ニッケル)とP(リン)の原子サイズ差により結晶格子に歪みが生じ、磁壁の移動が阻害されることで、磁区の拡大が抑制されます。Ni-P合金めっき皮膜は、Pが低濃度側で結晶質構造を、高濃度側ではアモルファス構造を取ります。Ni3Pの金属間化合物は特定の原子比と規則的な構造を持つため、交換相互作用が生じず、強磁性体にはなりません。Ni3Pは残留磁化を持たないため、磁場を切ると非磁性の状態に戻ります。また、Pの含有率によって合金の磁化の強さが変化します。
磁性を持つスルファミン酸ニッケルめっきと、本開発品のスルファミン酸ニッケル浴での非磁性ニッケル-リン合金めっきをVSMで測定した結果を以下に示します。スルファミン酸ニッケルめっきは、外部から磁場がかかると磁化され、ヒステリシス曲線を描くのに対し、非磁性ニッケル-リン合金めっきは0付近で、ほとんど磁化されていないことがわかります。
本開発では、お客様のニーズにお応えするため、以下の3つの目標を掲げて技術開発に取り組んでいます。
これまで培ってきた「スルファミン酸ニッケルめっき」と「無電解ニッケル-リンめっき」の技術とノウハウを融合させます。これにより、スルファミン酸ニッケルを使用した電気めっきでありながら、磁性を持たない皮膜の実現をめざします。
スルファミン酸ニッケル浴が持つ「高い電流密度で厚付けができる」という特長を活かします。非磁性という性能を維持したまま、生産性の高い「高速めっき」や「連続電解」に対応できる技術の確立をめざします。
めっき皮膜の硬度や耐食性などを決定づける、皮膜中のリン含有率。このリン含有率を安定的にコントロールする技術開発を進めています。これにより、お客様のご要望に応じた皮膜特性の提供をめざします。
開発中のスルファミン酸ニッケル浴での非磁性ニッケル-リン合金めっきの技術は、従来の電気ニッケルめっきにはない、以下の3つの優れた特長を併せ持ちます。
めっき皮膜は、原子が不規則に並んだ「アモルファス構造」を形成します。この構造は、磁性の原因となる結晶の規則的な並びを持たないため、外部の磁場に影響されない安定した非磁性を実現します。
皮膜がニッケルとリンの合金になることで、その内部構造が変化し、ビッカース硬度でHv500~700という高硬度皮膜が得られます。これにより、皮膜の耐摩耗性が向上します。
腐食は、金属の結晶と結晶の境目である「結晶粒界」から発生しやすくなります。本開発品の「アモルファス構造」には、この結晶粒界が存在しません。そのため、一般的な結晶構造を持つ電気ニッケルめっきと比較して、優れた耐食性が得られます。これにより、腐食しやすい環境下でも製品を長期間保護し、信頼性を高めます。
当社では、スルファミン酸ニッケル浴での非磁性ニッケル-リン合金めっきをはじめとした、特長ある表面処理薬剤を、埼玉工場・R&Dセンターを中心とした国内拠点で開発・生産し、安定した供給体制を実現しています。また、全国の営業拠点と連携したきめ細やかな技術支援体制を構築しています。これにより、さまざまな表面処理ニーズに対応可能です。多様な素材や形状の対象物に適したご提案をさせていただきますので、まずはお問い合わせください。
R&Dセンターでは、お客様の課題やご要望に基づいた対応、製品評価、製品解析を行っています。当社は80年余りにわたって、お客様に親身に寄り添い、課題解決に向けてサポートさせていただいた実績があります。
非磁性ニッケル-リン合金めっきの詳しい技術情報は、
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